入院セットのレンタル、借りるべき?——家族・本人・看護師、3つの立場で考えた損得

先日、90代の義母が入院しました。今年に入って、もう3回目です。季節の変わり目は、気をつけていても体調を崩してしまうことがあります。高齢者ならなおのこと。そして急な入院のたびに家族を悩ませるのが、「荷物の準備」です。

この記事では、多くの病院で使えるようになった入院セットのレンタルサービスについて、①借りる家族、②借りる本人、③病院で働く看護師——3つの立場を全部経験した私が、正直な損得をお話しします。

先に結論だけ言うと、こうなります。

  • 急な入院なら、まずレンタルを検討していい
  • ただし入院が長引くと費用は積み重なる
  • 肌着だけは持ち込みがおすすめ。ただし選び方にコツがある
目次

入院セットのレンタルとは?何が借りられる?

病院と契約した業者が提供するサービスで、入院窓口や売店で申し込めます。「CSセット(ケア・サポートセット)」という名前で案内している病院が多いです。内容は病院によって少し違いますが、だいたいこんなものがセットになっています。

  • 寝間着(洗濯・交換込み)
  • タオル・バスタオル
  • 洗面道具、ティッシュ、おしぼり・ウェットティッシュ
  • 入れ歯ケースや洗浄剤
  • 男性なら電動のひげ剃りまで

料金は病院とプランによって違いますが、1日およそ300〜700円。義母の病院では500〜600円ほど、いわゆるワンコイン程度でした。まさに「身軽に入院できる時代」になりました。料金表は入院案内の書類に入っているので、そこで確認できます。

家族として:一番大変なのは「1つしかない物」の回収でした

わが家では、いつ入院してもいいように「入院必須セット」——洗面用具、歯磨き、コップとストロー、マスク、寝間着や下着の替え——をひとまとめにしてあります。

それでも困るものがあるんです。普段使っている化粧水やクリーム、補聴器。必要だけれど、2つは持っていないから準備バッグに入れておけない物たち。

化粧水やクリーム、補聴器など、ひとつしかない持ち物のイラスト

一緒に住んでいない家族が、普段住んでいない親の家からこれらを探し出して持っていくのは、想像以上に大変です。「化粧水ってどれ?」から始まりますから。レンタルを使えば、家から運ぶのは「その人に1つしかない物」だけで済みます。ここが家族にとっての最大の価値でした。

もし自分が急に入院することになったら、私は迷わずレンタルを使います。家族に準備の手間をかけさせるのは、申し訳ないですから。

費用の現実:ワンコインも、積もれば

正直な弱点も書きます。1日550円で計算すると、こうなります。

入院期間レンタル費用の目安
7日間約3,850円
14日間約7,700円
30日間約16,500円

2〜3週間の入院になると、1万円前後。決して小さくない金額です。紙おむつ付きのプランを選ぶと1日900円台になる病院もあり、30日で2万円近くになることも。

それから、知らないと戸惑うポイントをひとつ。レンタル料金は入院費とは別で、レンタル会社から直接請求書が届きます。退院後しばらくしてから郵送で届くので、「病院への支払いは済んだのに何か来た」と驚かないでくださいね。契約した日数分の定額制なので、使わなかった日があっても料金はかかります。

それでも私は「ありがたい」と感じています。面会のたびに汚れた寝間着を持ち帰り、洗濯して、また届ける——この往復がまるごと消えるからです。特に急な入院のときは、本当に助かります。

看護師として:実は、病院側も助かっています

ここからは病院で働く側の本音です。レンタルセットは、患者さんのご家族だけでなく、看護する側にとってもありがたいサービスなんです。

  • ティッシュや入れ歯洗浄剤が切れるたびに、ご家族へ連絡する手間が減る
  • 寝間着を交換するたびに残り枚数を確認して、ご家族に連絡する作業がなくなる
  • 汚れた寝間着を、汚れが広がらないようビニール袋にまとめる作業もなくなる

そしてもうひとつ、現場にいた人間しか知らない話を。寝間着のサイズと形は、着替えの介助のしやすさを大きく左右します。ジャストサイズの持ち込み寝間着は、点滴中の方や寝たきりの方の着替えがとても大変なんです。生地が伸びなかったり、袖口がリブ(ゴム編み)で締まっていたりすると、腕を通すだけでひと苦労。その点レンタルの寝間着は袖口が広く、ボタンも少ない作りなので、介助がしやすいんですよ。

レンタル寝間着の弱点と、「それでも肌着は欲しい」への答え

とはいえ、レンタルの寝間着にも弱点があります。作りがゆったりしているぶんスースーして寒い。薄着のようで恥ずかしいと感じる方もいる。クリーニングのノリで生地がかたく、不快に感じる方もいます。

だから「肌着だけは持ち込みたい」という気持ち、よく分かります。そこで肌着を選ぶときのポイントです。

前開きの肌着。マジックテープ式のイラスト
  • かぶりタイプは避ける——寝たきりの方は着脱がとても大変です
  • 前開きのボタンタイプを選ぶ
  • さらに楽なのはマジックテープ(面ファスナー)タイプ——ベリベリと剥がすあれです
  • ただしマジックテープは位置がズレていると肌に当たってチクチク痛いことがあります。着せたあとにテープの位置を確認してあげてください

まとめ:お互いが少しでも楽になる選択を

  • 急な入院なら、レンタルはまず検討する価値あり。家から運ぶのは「1つしかない物」だけ
  • 長期になるほど費用はかさむ。1日550円×日数で一度計算を
  • 肌着は前開きを。マジックテープなら位置ズレのチクチクに注意

介護する側、される側、そして病院で働く側。それぞれの立場に、それぞれの事情があります。どれが正解というわけではなくて、「お互いが少しでも楽になる選択」ができるといいですよね。

次回は、わが家の「入院必須セット」の中身を全部リスト化してご紹介する予定です。

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